食卓の潜在的な危険！グルテンとカゼインが引き起こす「腸漏れ」の真実とは？

グルテンとカゼインが腸漏れ（腸の透過性が増加する状態）にどのように影響を及ぼすかについては、長年にわたり議論が続けられています。

これらのタンパク質が一般の食生活において健康に与える影響を科学的根拠に基づいて解説します。

まず、グルテンについてですが、グルテンは小麦、ライ麦、大麦などに含まれるタンパク質の一種です。

大多数の人にとって、グルテンを摂取しても健康上の問題は生じません。

しかし、セリアック病（グルテンに対する自己免疫反応によって小腸が損傷する疾患）の人たちは、グルテンを摂取すると腸の機能が損なわれ、腸漏れを引き起こすことがあります。

さらに、非セリアック・グルテン感受性（グルテンによって起こるが、セリアック病や小麦アレルギーではない健康問題）の人々も、グルテンにより様々な症状が現れることが知られていますが、これが直接腸漏れに関連しているかどうかはまだ明確ではありません。

次に、カゼインについてです。

カゼインは牛乳や乳製品に多く含まれるタンパク質で、一部の人々ではアレルギーや不耐症の原因となることがあります。

カゼインに対する反応が腸漏れを引き起こす可能性があるという報告もありますが、この関連性についてはまだ完全には解明されていません。

現代の科学研究では、グルテンやカゼインの摂取が全ての人々において腸漏れやその他の健康問題を引き起こすわけではないことが示されています。

グルテンやカゼインに対する個人的な反応は大きく異なり、影響を受けるかどうかはその人の遺伝的要素、既存の健康状態、そしてこれらの食品成分に対する特定の感受性に依存します。

公衆衛生の観点からは、一般的な推奨として、グルテンやカゼインに特有の健康上の問題がない限り、これらの成分を含む食品を過度に避ける必要はないとされています。

ただし、セリアック病やグルテン感受性、カゼインに関するアレルギーや不耐症のある人々は、これらの成分を含む食品を避けることが重要です。

いずれにしても、個々人の健康状態や反応に応じた適切な食生活を行うことが最も重要です。

非セリアック・グルテン感受性（NCGS）およびカゼインに対する不耐症は、それぞれグルテンとカゼインというタンパク質に対する反応を示す状態です。

これは、セリアック病や乳糖不耐症とは異なり、免疫系に関連する炎症的な反応や、消化器系の障害を引き起こしますが、セリアック病のような小腸の破壊は伴いません。

腸漏れ（漏出性腸症候群）とは、腸の壁が正常に機能せず、通常は体外に排出されるべき大分子や毒素が血液中に漏れ出してしまう状態を指します。

これは、腸のバリア機能が低下することで生じます。

グルテンやカゼインの不耐症による腸漏れのメカニズムは、以下のように説明されます　

1. 免疫反応: NCGSまたはカゼイン不耐症の個体では、グルテンまたはカゼインに対して非特異的な免疫反応が起こります。

   この反応により、炎症性サイトカインが放出され、腸のバリア機能が損なわれます。

2. ゾンチンオープナー効果: グルテンに含まれるグリアジンは、ゾンチン（腸の細胞間を結びつけるタンパク質）の構成を変更し、腸の透過性を増加させることが示されています。

   また、カゼインに関する研究は限られていますが、同様の機序で腸の透過性が影響を受ける可能性があります。

3. マイクロバイオータの変化: グルテンやカゼインへの不耐症は、腸内の善良な細菌のバランスを崩し、悪影響を与える細菌の増加を促すことがあります。

   これはさらに腸のバリア機能を損ない、腸漏れを悪化させることが示唆されています。

4. 物理的損傷: 炎症と免疫応答は、腸の細胞を直接損傷し、腸壁の透過性の増加につながります。

腸漏れはさまざまな健康問題に関連があります。

そのため、NCGSやカゼイン不耐症の人々は、可能であればグルテンやカゼインを含む食べ物を避け、腸の健康をサポートする食生活や生活習慣を取り入れることが推奨されます。